紫陽花が香る城
大関氏300年間の居城
今回は那須黒羽城を紹介したい。
以前、冬の時期の登城にて、若干ではあるが白銀の黒羽城を拝めた。
白銀の黒羽城も見事だったが、今回の目的は6,000株の紫陽花が咲き香る黒羽城だ。
コロナウイルスの影響のため、毎年行われる紫陽花祭りは中止となっていたが、綺麗に咲く紫陽花は他の城にはない美しさがあった。
春は桜香る時期も最高で、四季折々の情景を堪能することができる。
では北那須最大級の城郭・黒羽城を御堪能あれ。
目次
①大関高増の誕生
②近世大関氏
③黒羽城大改修
④黒羽城の縄張り
⑤城データ(所在地はこちら)
⑥みどころ
⑦おすすめ記事
・大関高増の誕生
那須黒羽城は1576年(天正4年)に大関高増によって築城された。
この大関高増は智謀に長けた優秀な武将で、もとは那須家家臣である。
那須家には那須七党と呼ばれる那須氏を含む千本氏、蘆野氏、伊王野氏、福原氏、大田原氏、大関氏の旗本で支えられており、それぞれ独立心が強く主君に背く事さえあった。
高増の父、大田原資清は主家である那須家のお家騒動に乗じて那須家の乗っ取りを画策し、那須七騎の大関氏、伊王野氏、蘆野氏を味方に付ける事に成功。
ついには挙兵し主家に敵対するも、これは失敗に終わる。
しかし資清はまたもや更なる領土拡大を図り挙兵し、福原氏・大関氏の攻略を開始。
が、またしても敗れ、一時、国許を去ることになる。
しかし資清の野心は消えず、自分の娘を主家・那須政資に嫁がせる事に成功。
その功で本領の大田原に復帰した。
その後は政資を篭絡し、大関増次を討ち取ることに成功。
長男・高増を養子として大関氏に送り込み、大関家を我が物とする。ここに大関高増が誕生するのである。
その後、次男・資孝を福原氏に養子へ送り込むことに成功。
大田原氏は三男の綱清が家督を継いだ。
・近世大関氏
那須家では政資の子・高資が那須家家督を継ぐ。
父、政資が大田原氏を重鎮する事を快く思っていなかった高資は大田原氏を排除するようになった。
このため大田原資清は高資を廃する画策を練る。
資清亡き後、大田原三兄弟は千本氏を味方にし、那須家の宿敵・宇都宮氏と通じ高資を謀殺。
姉の子である那須資胤を当主とし事実上、大田原三兄弟(大関高増、福原資孝、大田原綱清)が政権を手にし、最大勢力を築く。
その後、資胤とも対立し隠居に追い込んでいる。
豊臣秀吉の小田原討伐が始まると、大田原三兄弟は資胤の子・資晴に秀吉に味方するよう進言をする。資晴を説得するが、一向に動く気配がない。
やむなく大関高増は主家を見限り、長男・晴増と共に小田原に参陣した。
結果、大関家は所領1万石を安堵され、長男・晴増にも3千石の所領が与えられ1万3千石の大名となるのである。ここに近世大関家が誕生する。
参陣を控えた那須家は遅参を咎められ所領を没収されたが、大田原晴清の陳謝で、5千石をあてがわれ、改易はまのがれている。
・黒羽城大改修
関ヶ原の合戦では東軍に属し、黒羽城はその地の利から、対上杉の最前線の城として活躍。
徳川家康は黒羽城に甲賀の忍びを配置し、上杉景勝に対し錯乱活動をしきりに行っている。徳川四天王の一人である榊原康政の下で大改修も行われ、北関東最大級の城郭へと姿を変えた。
以後、明治維新に至るまで300年間、大関氏と共に繁栄し続けた。
三の丸には芭蕉の館が建っている。
ここ黒羽に松尾芭蕉は14日間滞在したとされ、中は資料館となっている。
・黒羽城の縄張り
それでは縄張りをみていこう。
黒羽城は西に流れる那阿川に沿った河岸丘陵の上に築かれ、東に松葉川を天然の水堀とし、本丸、馬出を配置、本丸と馬出の間には木橋(紫陽花橋)がかかり、本丸北側に中の丸、二の丸、南側に三の丸と南北約2km、東西約250mからなる連郭式の城郭だ。
土の城とはいえ本丸は厳重に守られており、馬出と本丸を遮る空堀はみごとで、深さ約15m、幅20mと巨大である。上記写真でみていただいた通りこの巨大空堀に無数の紫陽花の花が咲く。実に美しい。
本丸前に馬出を配置する珍しい縄張りになっていて、これはおそらく徳川家の指示であろう。枡形虎口や水堀も見られ近世城郭の技術が随所にみられる。
桜の時期も見事な姿を見せる黒羽城。必見だ。
四季折々の情景を堪能することができる。
北那須最大級の城郭・黒羽城、是非、訪れてみてはいかがであろうか。
城データ
城名:丸鶴城
築城者:大関高増
主要城主:大関氏
主な遺構:土塁、空堀、水堀、堀切、虎口、復元櫓
所在地:栃木県大田原市黒羽前田
連絡先:0287-54-1110(大田原市観光協会)
アクセス:西那須野塩原ICから約30分
駐車場:有り
指定文化財:市指定
みどころ
・北那須最大級の城郭
・高さ15mはあろう見事な空堀
・本丸眼下に流れる那珂川
・那須、日光連山の眺望
・6月下旬、7月上旬には6,000株の紫陽花が咲き香る
・四季折々の情景
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